ヒョロガリのややオタクだが、性根がまっすぐで芯が強い青年 八重樫ミツル
彼が画家を目指して上京した街は、世界でも類を見ない「ストリートファイト」を町おこしとして
いる、路上での殴り合い公認の地域だった!
格闘技や武道と無縁の世界で生きてきたミツル君は、ひょんなことから「ストリートファイター」と
して生活していく羽目になる。
そして、その彼を一流のファイターとして、育てていくのが美少女ヒロイン ドラエである。
ミツルと偶然(本当は偶然じゃない)の出会いにより、その才能を見抜いたドラエ(本名;ドラエ・タチバナ=ドリャーエフ)
が、自身の持つ古流柔術の闘い方や技術、身体操作を彼に授けていく。
そして、それによって彼はファイターとしてのみならず、人間的にも成長していく。
多くの強敵(友と読んでね)たちと競い合い、ときに共闘し、その後馴れ合いながらw
ドラエ自身、達人レベル(超人)の武術家でありながら、ミツルのメイドという設定(実際いつもメイド服)
が、その手の人たち受けを狙っているのだろうか?と思いつつ、萌えゲー的要素は少ない。
(しかし、金髪や黒髪の美少女、ロリータは数多く登場する)
そしてこのマンガの柱となるのは、武術の術理とでもいうべき、理論、小ネタ、コツの数々。
作者のことをよく存じ上げないのだが、実際に古流や中国武術を学んでいるのではないか?と
思われるほどに、詳しい。
それが「そんなのちげーよ」とか失笑モノではなく、試してみて「なるほど」と思わせる内容が多い。
格闘技化することで失われていった武の術、理(ことわり)などを、西洋式スポーツの欠点として
比較する描写が圧巻。
ミツル君は、武術の技と折れない心を駆使して、格闘技の選手たちを一人、また一人と倒してゆく。
強敵、鷹羽(沖縄空手)にも勝ち、最強にして最後の好敵手ジロー王(太極拳)との決戦にのぞむ。
結果は書かないが、最強の友人との決着も付き、次なる世界に進む主人公を描いて完結。
しかし、コレ読み終えて思ったのだが。
その術理や開発システムは、置いといて。
武術は文字通り命のやりとりをする現場から生まれた、だから、ルールがあり、負けても死ぬこともないし
、傷ついてもレフェリーが止めてくれる、試合が終わったら家に帰って休むことができる、競技とは違う。
という主張みたいなもの、をあまり前面に出すのはどうかと感じた。
作品としては、全巻購入して楽しく読めて、実際に役に立った知識もあった。
格闘技側のキャラクターがいかにもやられ役なのもちょっと?(脳みそ筋肉で粗暴、性格悪そうなデカい図体)
武術研究家N氏が絶賛するだけのことはある?
でも、武術術が好きで格闘技できるからって威張っている、筋肉バカをやっつけたい、という俺のような
タイプならば楽しく読める。
以下某サイトより無断引用
主人公は60キロ程度の体重で、格闘技経験は全く無し。その状態から、僅か半年でプロ格闘家になり、覚えたてのパンチや蹴り、投げ技を駆使して強敵を倒していきます。
拳や脛の鍛錬の辛さ、テレビで見る分には簡単そうな、ワンツーやローキック、タックルがいかに難しく奥が深いか、顔面への打撃の恐怖、組技で力自慢の巨漢に圧倒される屈辱、巧みなコンビネーションに隠された見えないローキックやハイキック、咄嗟に受けたミドルキックで上がらなくなる腕、翌日動けなくなる程の疲労と痛み、泣きたくなる程キツイ筋トレ。
そういったものとは無縁です。
モヤシの主人公が、何年も努力を重ねてきた格闘家たちにアッサリ勝っていくそのストーリー展開は、彼らの、そして私たちの努力を踏みにじっているかのような感覚を覚え、不快な気分になり途中で読むのをやめてしまいました。
私もプロや元プロの選手とスパーリングをすることがありますが、アマの範疇ではそれなりの強さに位置する私からしても、異次元の強さです。作者も一度ジムへ行き、強者と本気のスパーリングを行ってみてはどうかと思いました
以上引用
結局、達人とか剣豪と呼ばれた人たちが、現代で言うトップアスリートではないのかな?
武術、剣術の人たちが、競技化された柔道、剣道、格闘技を揶揄したり上から目線で語ったり、格闘技側の人が伝統的武道を
あんなものは使えない、と貶すのは、貴重な財産を減らしていくだけのような気がする。
そんな感想を持ったので、お勧めです!
ツマヌダ格闘街(ツマヌダファイトタウン) 上山道郎 1~20巻(完結)
ここでは紹介できなかった、ドラエちゃんの生い立ちと師匠、その師とミツルの関係は素直に感動した。
主人公がとにかくまっすぐで、好青年。